フロントブレーキキャリパー・マスターシリンダ交換

Warning

重要保安部品であるブレーキ周りの交換です。作業ミスは命に関わります。自信が無い場合は
ショップに依頼してください。

Attention

ブレーキフリュードに関して
塗装を侵します。微量でも塗装面についた場合、速やかに洗い流してください。
吸湿性の高い液体です。作業は出来るだけ晴天・湿度の低い日に行いましょう。

クラッシュワッシャーに関して
使い回しは厳禁です。必ず新品を使用してください。

 NSR250のブレーキ周りに交換済みの私のCBRですが、「慣れ」から来るものか最近ではブレーキの「効き」に不満を持つようになりました。
 そこで今回はキャリパー・マスターシリンダともリニューアルする事にしました。

用意する物
 キャリパー(RC30用)・マスターシリンダ(SC50用)・ブレーキホース・クラッシュワッシャー・ブレーキフリュード(DOT4)・シリコングリス・モリブデングリス・14mmスパナ・13mmスパナ・12mmボックスレンチ・8mmメガネレンチ・8mmボックスレンチ・透明のチューブ(内径5mm)・ペットボトル・ラップ・輪ゴム *今回は交換前後の比較のため、ブレーキパッドは交換しませんでした。

キャリパーの加工
 RC30のキャリパーはMC21・NC30の物と同形状ですが、マウントの位置が若干異なります。そのままではアッパー側がディスクと干渉します。今回はキャリパーを若干削って、クリアランスを確保する事にしました。
 パッドも当たり面がずれますので、現物合わせで削ります。(削らずに使用するとディスクのインナープレート、ディスクの外周面に当たります)

ブレーキホースの組立
 今回はPLOTのSWAGE-LINEを購入しました。キャリパーを交換するためノーマルの長さでは合わないのでイージーオーダーです。オーダー時にバンジョーアダプターを別にしていたため、アダプターの取り付けを自分で行うことになります。
 バンジョーアダプターの接合面の傷防止のため、接合面にシリコングリスを薄く塗布します。*ネジ部・フリュード流通部にグリスが付かないよう注意してください。バンジョーアダプターをフィッティングに入れます。フィッティング側は13mmスパナにウエスを噛ませ・アダプター側はアルミ板を噛ませてモンキーレンチで締めます。

キャリパー・マスターシリンダの取り外し
 ブリーダーに透明のチューブをつなぎブリーダーを緩めます。キャリパーピストンを押し込み、パッドの間隔を広げ、ブリーダーを締めます。キャリパーからブレーキホースを外します。ホースを再利用する場合は出来るだけ傷が付かないように、レンチにウエスを噛ませて緩めます。ホースを外すとブレーキフリュードが漏れてきますので、ラップなどで覆い輪ゴムできっちりと留めます。
 左右とも外したら、マスターシリンダの固定ボルトを外してマスターシリンダごと取り外します。マスターシリンダからバンジョーボルトを抜きホースを外します。キャリパーアダプタを外し、キャリパーを外します。

キャリパー・マスターシリンダの取り付け
 キャリパーにパッドを取り付けます。フォークに取り付け、キャリパーアダプターを取り付けます。バンジョーアダプター取り付け時と同様に接合面にシリコングリスを塗布します。マスターシリンダーを車体に取り付けます。マスターはレバーの位置合わせを行いしっかりと固定してください。
 ホースはキャリパー側から取り付けます。ホースの「ねじれ」に注意してください。ブレーキホースの各接合部には新品のアルミ or 銅のクラッシュワッシャーを入れてください。
 「ねじれ」の調整方法。マスターシリンダーにバンジョーアダプタの向きを合わせ、キャリパーにホースを仮留め(レンチを使い締め込む力加減が変わるくらい)します。ホースを動かないようにしっかりと握り、フィッティングを緩めます。ホースを1/4ほど反時計回りに回し、再度フィッティングを締めます。(きっちりと締めます)ねじれが生じるようで有れば、再度緩め、ねじれ分を調整します。
 フィッティング・バンジョーアダプター・キャリパーアダプターは、締め付けに注意してください。特にアルミ製の場合、締め付けすぎると、クラックが入りフリュード漏れの原因になります。取り外し同様、レンチにウエスを噛ませ傷が付かないようにします。

エア抜き
 フリュードをリザーブタンクに入れ、キャリパーのブリーダーに8mmのレンチを噛ませ、透明のチューブを付けます。反対側のホースの先はペットボトルに入れて、フリュードが零れないようにしてください。
 作業は左側(クラッチレバー側)のキャリパーより行います。ブレーキレバーを堅くなるまで握り、握ったままブリーダーを緩めます。ブレーキレバーを握ったままブリーダーを閉めます。チューブに出てくるフリュードにエアが混じらないようになるまでこの操作を繰り返します。リザーブタンクが「空」にならないようフリュードを補充しながら行います。
 全くの「カラ」の状態からの作業ですので、時間が掛かります。市販のエア抜きツールや注射器を使った抜き取り・注入(逆流・キャリパー側からマスターにフリュードを送り込む)の方法も有りますが、私は両方とも持っていません。ひたすら、レバーを握りレンチを操作して抜き取ります。
 左右とも有る程度抜けたらリザーブタンクに蓋をし、左側(クラッチレバー側)のキャリパーを外します。パッドを一旦取り外し、キャリパーピストン外周にシリコングリスを薄く塗布します。パッド背面にモリブデングリスを薄く塗布しパッドを取り付け、パッドの間に太いマイナスドライバーなどを入れて一気にピストンを押し入れます。押し入れたらレバーを操作し、ピストンを出します。これを繰り返して、完全にエアを抜き取ります。エアが抜けたら、キャリパーを取り付けます。左右とも作業が終わったら、念のためブリーダーからのエア抜きを再度行いエアが入ってないか確認してください。

最後にリザーブタンク内のフリュードを規定位置まで補充し、各部の締め付けを確認し終了です。
*パッドを交換した場合は「アタリ」が出るまでは余裕を持ってブレーキングしましょう。

冒頭に記入してますように、命に関わる作業です。自信のない方は素直にショップに依頼してください。

追記(2006年 1月24日)
 交換後まだ走ってません。ブレーキを操作したときの感触が柔らかく、エアが入っているかのようです。そこで、色々と調べてみると今回使用したSC50のマスターシリンダー(11/16 セミラジアル)とRC30キャリパーでは、油圧レシオ・レバーレシオの関係で柔らかいタッチになるようです。やはり、セミラジアルマスターを使用する場合は3/4インチ径が妥当なサイズのようです。

追記(2006年 2月 7日)
 タッチに納得できず、新たにマスターシリンダを購入・取り付けました。今度のマスターはSC45/RC51の3/4インチのセミラジアルです。やはりタッチはSC50用に比べると「カチッ」とした物になりました。
今回使用したパーツは全てHONDA純正部品です。
部品番号は

CBR954RR(SC50)

VTR1000R SP1(SC45)
マスターシリンダ 45510-MCJ-751 45510-MCF-006
ブレーキレバー 53170-MCJ-751 53170-MCF-751
レバーピボット 90114-MCF-006

キャップナット 90201-415-000


ブレーキレバーはSC50もSC45も同形状です。SC50はアジャスターが6段調整・SC45は5段調整となります。私はSC50用を使用しています。