エンジンオイルと違い、なかなか交換されてないことが多いフロントフォークオイル。しかし、フォークオイルが劣化すると十分な減衰力が発揮されず、走行安定性に影響が出てきます。また、ノーマルで減衰力に不満が有る場合は、オイルの粘度を変えることで調整する事も出来ます。
フォークオイルの排出
フロントフォークを外す前に、フォークボルトを緩めます。(緩めるだけです。)プリロードアジャスタを最弱にし(イニシャルアジャスタ付きの場合はイニシャルを最強に)、フロントフォークを車体から取り外します。
フォークボルトを外します。若干ですがスプリングによりテンションが掛かってますので、注意してください。
スプリングカラー・スプリングシート・スプリングを抜きます。オイル受けにフォークを伸び縮みさせオイルを排出します。有る程度抜けたら、逆さまにし、エンジンオイル同様、時間を掛けて出来るだけ古いオイルを抜いてください。
取り外したフォークのインナーパーツを洗浄します。
古いオイルを残さないと言うこともありますが、インナーパーツは油面調整後に組み込みます。インナーパーツにオイルが付いていると、せっかく調整した油面が狂ってしまいます。
オイルの注入
規定量のフロントフォークオイルを入れます。(後ほど油面の調整をしますのでシビアに量を量る必要は有りません。)半分ほどオイルを入れたらゆっくり伸び縮みさせ、オイルを行き渡らせます。(全量を一気に入れると溢れる事があります。)残りのオイルを入れます。
オイル容量はNC29の場合、NC29-100〜105は453cc・NC29-110〜は408ccです。
エア抜き
インナーチューブをゆっくり伸び縮みさせ、エアを抜きます。ポコポコと音をたててエアが出てきます。音がしなくなり、覗いてみてエアが出てこなくなればOKです。
油面の調整
規定量のオイルを注入してそれでOK?
エンジンオイルを交換するときはどうでしょう? レベルゲージで確認しますよね。フロントフォークも同様にレベル(油面)のチェック・調整が必要です。
何故調整が必要か?フロントフォーク内は密閉されており、フロントフォークの伸び縮み時にはスプリングの力と、オイルの粘度・フォーク内の「空気」の力の3つの要素が有ります。左右で油面が違っていたり、標準よりも油面が違っている場合は、本来のフロントフォークの働きをしてくれません。逆に、油面を変えることによって、セッティングをする事も出来ます。
注射器を使った油面調整器具も有りますが、私は持っていません。「オイル挿し」を使った代用器具を使用します。
油面はNC29の場合、NC29-100〜105は105mm・NC29-110〜は120mmです。(油面の調整はフォークを一番縮めた状態で行います。)
組み付け
フロントフォークを最大長まで伸ばし、スプリング・スプリングシート・スプリングカラーの順に挿入します。フォークボルトを取り付けレンチで締めます。インナーチューブに付いたフォークオイルをパーツクリーナーで洗い流し、シリコンスプレーを吹きかけ全体を拭き上げます。フォークオイルが付いたままだとゴミ・埃がインナーに付着し傷を付ける原因になります。シリコンスプレーは粘度が低くサラッとしているので、ゴミの付着を防げます。また、シリコンはゴム素材を浸食しないのでダストシールやオイルシールに悪影響を与えません。
車体に組み込みフォークボルトをさらに締め込み終了です。