現在日本国内で販売されている二輪車はロービームは常時点灯です。車体が小さく他車からの視認性に劣る二輪車は、事故回避の為にも常時点灯は必要な機能だと思います。CBR600FSも常時点灯ですが、エンジンの始動に関わらず、キーONだけで点灯します。私の600FSはHIDを導入しているため、安定発光前の電圧の変化に敏感です(HIDは点灯直後に一番電力を使用します)。また、極まれに点灯に失敗する事があり、エンジン始動後に気づいた場合、一旦キーOFFしてエンジンを停止させなければなりません。キーON状態で行うメンテナンス時は、バッテリーの負担になります。これらの不具合を解消するため、ロービームにスイッチを付けることにしました。
今回使用したスイッチはCBR400RR(NC29-100〜105)用純正部品(35200-MV4-000)です。他に用意したのは、ダイオード・汎用2Pカプラ・10Pカプラ・ギボシ・熱収縮チューブ・1.25sqの配線・NC29とPC35の配線図。
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走行時は必ずロービームを点灯してください。 |
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ロービーム用リレーハーネスの取付
HIDの取付・ハーネスシステムを参照下さい。
リレーを用いずに直接バルブに接続すると、スイッチ・ハーネス・後述のダイオードを破損する恐れが有ります。必ずリレーを使用してください。
配線図を見るとお判り頂けるのですが、HIビームの回線にはリレーが使用されていますが、LOビームの回線にはリレーが使用されていません。
ノーマルスイッチの取り外し
アッパーカウル内(ヘッドライト中央の裏側あたり)に有る10Pカプラ・ホーンのギボシ・クラッチスイッチのギボシを外します。(画像ではアッパーカウルを取り外していますが、取り付けたままでも作業できます)フロントフォーク・アッパーカウルステーのタイラップを外します。ノーマルのスイッチ下部の2本のボルトを外し、スイッチを取り外します。元々600F(キャブ)がベースのため、スイッチを取り外しても樹脂製のスペーサーの様な物が残ります。グリップエンド・グリップラバーを外し「スペーサーの様な物」を外します。グリップエンド・グリップラバーを元通りに組み付けます。
NC29用のスイッチの加工
NC29に使用されているバルブはH4Rです。HI点灯時、LOは消灯します。PC35はH7が使用されています。HI・LOが独立しており、HI点灯時、LOも点灯します。NC29のスイッチを無加工で使用すると、HI点灯時にLOは消灯してしまいます。これをノーマルのPC35同様のスイッチパターンになるよう加工します。
加工方法はスイッチ本体を加工するのではなく、配線の一部を加工します。図のようにハイビームとロービームの間にダイオードを入れます。実際にはダイオードが破損した場合、容易に交換出来るよう2極カプラを使用し取り付けます。
配線のカプラへの取付
ノーマルのスイッチのハーネスを途中で切断して取り付けることも出来ますが、トラブルが発生した場合、原因追求が困難になる・ノーマルに戻す場合新たにスイッチを購入しなくてはならない、など後の事を考えカプラを購入しました。PC35のライトスイッチに使用されているカプラは、一般量販店で入手することは出来ません。ネットで探してみると、hi-1000.comで同形状のカプラを販売していたので購入。
NC29スイッチ加工後
PC35ノーマル
基本的には元のPC35用スイッチの配線と同じ位置に取り付けます。異なるのはHIビーム出力・ホーン電源用の二種類の色と、600FSではHIとパッシングで電源入力が2系統なのに対し、NC29では1系統になること。NC29ではLO出力線・ポジション出力線がありますが、600FSには該当する配線が無いこと。LO出力線はLO用リレーに接続します。ポジションの配線はヒューズボックスからの配線を切断する必要が有るため今回は行いませんでした。
CBR600FSスイッチ | CBR400RRスイッチ | |||
白 | HIビーム |
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青/白 | HIビーム |
黒/赤 | パッシング電源 |
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黒/赤 | HIビーム・LOビーム・パッシング電源 |
青/白 | HIビーム電源 |
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リレー |
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白 | LOビーム | |
白/緑 | ホーン電源 |
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黒/茶 | ホーン電源・ポジション電源 |
緑 | ホーンアース |
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緑 | ホーンアース |
オレンジ | ウィンカー |
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オレンジ | ウィンカー |
グレー |
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グレー | ||
空 |
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空 | ||
黒 | クラッチ |
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黒 | クラッチ |
黒 |
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黒 | ||
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茶 | ポジション |
NC29のスイッチの配線はPC35に比べ長いため、PC35に合わせカットします。各配線に用意したカプラ用の端子を取り付け、カプラに差し込みます。ホーン用の配線は逆に短いため、5cmほど延長します。
LO用出力線にギボシを取り付けます。適度な太さの配線(私は1.25sqの配線を使いました)を使用しリレーの配線までの延長します。
車体への取付
スイッチをハンドルに取り付けます。カプラ・クラッチスイッチの配線を接続します。
リレーの配線にスイッチからの配線を接続します。万一、故障したときにノーマルの常時点灯に復帰するための常時電源を用意します。
スイッチからのハーネスを元通りにタイラップで固定し終了です。
冒頭に記していますように、事故回避に常時点灯は必要な機能です。走行時は必ず点灯してください。